ポール・ヴェルレーヌ(Paul Verlaine,1844-1896)における神不在の時代(俗)/神との出会い(聖)がいかにヴェルレーヌの詩作に影響を与えるものなのか。ヴェルレーヌの魂の技法・信仰の問題を探求する。
詩という文学の一形式によって表現された魂の状態を、「個的実存レヴェル」「対他的実存レヴェル」および「宗教的実存レヴェル」という三段階に区切り、ヴェルレーヌの実人生と作品とを相互的に論じる。その際、「詩は何よりもまず音楽を」と歌った詩人自身の主張に基づき、韻律の分析をも詩編の意味解釈に適用させる。さらに、「宗教的実存レヴェル」においては、詩編に見られる「聖」と「俗」との現れ方に着眼し、ゴーム枢機卿の『口教要理』や聖書を用いて具体的に彼の作品を解読する。このような道のりを辿りながら、最終的には、『叡智』の合理性を欠く詩編構成の問題にひとつの解答を与える。
著者:大熊薫(おおくま・かおる)
1949年福岡県生まれ。九州大学文学部卒、同大学大学院文学研究科博士課程中退。1981年より1年間、パリ・ドミニコ会修道院にてカトリック研究。現在、熊本大学文学部文学科教授。専門はヴェルレーヌ。共訳書に『イエスと歩む福音宣教の旅』(ドン・ボスコ社、1987年)がある。